Tokyo Sweets Club 東京スイーツ倶楽部
5月定例会を終えて



93回目の例会は 2012年の総会と関西スイーツシリーズ第二段として、今最も関西で注目されているラヴィルリエの服部シェフを大阪からお招きしての会でした。
服部シェフは関西スイーツ界 いや日本のスイーツ界においても異色のパティシエで、一時は介護士としての仕事に携わられ、その後 人をより一層喜ばせたい 人の心を結びつけたいという思いから 店名にも反映されている 「ラヴィルリエ」を立ち上げられました。
常に貪欲に、常に前向きにスイーツに立ち向かっている姿勢が全ての作品に現れていました。一言で言い表すならば、「ガツンと一発食らわせられる」スイーツの逸品を 関西だけではなく、東京の皆さんに味わって貰えた事に大きな喜びを感じました。
本当に大阪からおいで頂きありがとうございました。これからも、関西の代表すべき、いや日本の誇るべきパティシエ目指して頑張って下さい。我々倶楽部のメンバー全員で応援しています。

 


東京スイーツ倶楽部


代表世話人


中村真也

 

【Patisserie Ravi,e relier(パティスリー ラヴィルリエ)】

この日は関西スイーツの最先端、Patisserie Ravi,e relier(パティスリー ラヴィルリエ)の服部シェフをお迎えしました。何とわざわざこの日の為に関西からお越し頂いております。 本日お持ち頂いたケーキはどれも見た目でイメージする味を常に良い意味で裏切られましたが、これって実はツンデレなシェフそのもの!?介護士やバリスタなど異色の経歴だらけのシェフからは、普通のケーキは出てこないのかもしれません。




【ミルフィーユ】


【ミルフィーユ】

フランス菓子の原点ということで出されたそうです。ミルフィーユといえばフィユタージュ(生地でバターを包んで折りこんでいく方法)が主流ですが、古典に則りアンベルセ(バターで生地を包んで折りこんでいく方法)を採用されています。アンベルセの生地でムースリーヌを挟むと軽くなってクリーム部分に生地が負けてしまうので、一般的なものよりも折る回数を増やしてしっかり火を通してあります。上から包丁を当てると気持ち良くスコーンと切れるくらい密になっているので生地にボリュームがありますが口当たりは軽く、少し固めのクリームと相まってケーキ自体に大きな存在感があります。




【スリジェ】

【スリジェ】

見た目からしてひたすら甘くて濃厚なチョコケーキかと思いますが食べてびっくり、口当たりは意外にもさっぱりしています。フランス菓子らしい複雑さはないけれど咀嚼した分味が広がります。日本のフランス菓子は口どけの良いものが多いですが、フランスでは唾液と混ざって広がる味を大事にされているからだそうです。じゅわっと感じられるくらいお酒がしっかりと入っているのですがアルコールの嫌な感じは全くありません。最初のお店にあった商品ながらそんなに好きではなかったそうですが、それだけに自分の中に引っかかっていたので形にしてみたくなり作られたそうです。




【テメレール】

【テメレール】

スペシャリテという訳ではないけれど、シェフの中ではそれくらいの位置付けの一品。こちらもスリジェ同様、最初に食べた時は甘過ぎるし全然美味しくなかったそうなのですがフランスらしいのでご自身の中で再構築して作られたとのこと。香りはお酒のきいたバームクーヘンといった感じです。配合には気を遣われているもののなかなか強烈な味とおっしゃっていましたが、何でも「テメレール」は「無謀な」という意味で、艦隊の名前にもなっていたとか。恐る恐る食べてみると、土台の軽さとクリームの冷たさと果実の酸味、更にナッツの風味とザクザク感といった形に様々な感覚が一気に迫ってきます。というのも口の中で同時に溶ける様に計算されて外のクリームと中のジュレを作られている そう。お見事としか言いようがありません!


【ミロワール・カシス】 【ミロワール・カシス】

ギリギリまでゆるめにムースを作ってあり、イートインスペースがあったらそこだけで出したいくらいこだわりの詰まった一品。元々ムースには思い入れがあり、オープン前から作っていたということです。カシスの酸っぱさの直球の後にチョコレートやキルシュ酒の味が追いかけてきて、いくらでも食べられそうな味。口どけはフランス菓子らしく、香らせ方にもこだわりがあるそうなので意識して食べてみられては如何でしょう。

【ショコラキャラメルサレ】 【ショコラキャラメルサレ】

キャラメルと塩をあわせる場合、通常であればキャラメルがとがっているので塩を入れてなめらかにするのですが、へそ曲がりなのでキャラメルソースの上に塩を手で振り掛けて作られているそうです。塩のかかり具合によって多少味が違うこともあるとか。キャラメルソースの苦味が心地良いので、見た目は甘そうですがいくらでも食べられます。



客席を回ってケーキを切って頂いたり、他愛もない様な質問にもひとつひとつ真剣に考えながら答えて頂けるところに、日本一の接客の一端を見た気がしました。見た目も話し方も親しみ易いのに実はへそ曲がりというシェフとの時間は常に笑いが絶えません。そんな素敵な空間の中、並ばなければ買えないケーキを東京に居ながらにして5品も味わえるとはこの上なく贅沢な時間でした。


 

<文責>渡邉聡美

2012年05月24日