Tokyo Sweets Club 東京スイーツ倶楽部
3月定例会を終えて

全体写真

まず冒頭において、東京スイーツ倶楽部に神戸の三田より遥々駆け付けて戴いた小山シェフに感謝致します。今回、キャンセル待ちが数十人でる程の大人気で、当日会場には溢れんばかりの52人の会員メンバーと共に小山シェフのお話に聞き入ってしまいました。 シェフとしての職人魂はもちろんの事、チームとしてひとつの物を作り上げるマネジメント力 そして、決して世の中が求めている物に左右される事なく、自らが成さなければならない使命に基づく経営者としてのパワーなど数えきれない才能をフルに発揮されている姿が 今回戴いたロールケーキやプリンそしてショコラから感じ取る事ができました。 そして、それを物語っているのが例会を終えてからのお礼や感謝のメールの多かった事が証明しています。小山シェフの今後の関西だけでなく、日本のそして世界を舞台にされて活躍されるを祈願しつつ、我々もその姿を励みに頑張って参りますので、今後とも宜しくお願い致します。最後になりましたが、次回の例会は総会を兼ねて またまた関西スイーツパワー全開のシェフの登場予定ですのでお楽しみ下さい。 東京スイーツ倶楽部 代表世話人 中村真也


100回を目前に控えた東京スイーツ倶楽部。92回目を迎える3月16日の会は、神戸・三田(さんた)から世界へ向けて独自のスイーツを発信する日本洋菓子界のアイコン、「eS koyama」(エスコヤマ)の小山進シェフ!50名以上の参加者で埋め尽くされた今回の模様を、参加できなかった皆様、また、参加したけれどもう一度シェフのスイーツに出会いたいと思う皆様へ向けて、当日のレポートをお伝えいたします。


【イメージビデオ ?A Kingdom of Sweets?】

会の始まりは、eS koyamaのイメージビデオから。伊丹空港から車で約25分、豊かな自然に囲まれ、一般的には三田牛で名の知れた兵庫県三田市。その街の中、1,500坪に渡る広大な敷地に現れる小山シェフのトリニティ: パティスリー、ブーランジェリー、ショコラトリーの映像が流れます。産地を厳選したフルーツのタルトに、焼きたてのパンや虹色のマカロン、そしてスタイリッシュなコンフィチュール瓶などが、それらを生み出すライブリーな厨房と共に次々と紹介され、小山シェフのスイーツは、三田を取り巻く環境との融合であることを教えてくれます。シェフのお菓子をいただく前に相応しい「目で見るアペリティフ」となりました。


【CCCデギュスタシオンNo.5】

5種類のスイーツの一番手は、昨年秋にパリで開催された「サロン・デュ・ショコラ」で発表された「レ・ザワード・デュ・ショコラ」にて、250名中わずか12名に与えられる最高評価、星付きの5タブレット(=6タブレット)を獲得した「C.C.C.デギュスタシオンNo.5」です。シックなショコラ色で統一された小箱を開けて登場するのは、繊細に色の違う、コンテスト規定種目のボンボン5種類。自分の好みで選びたい衝動を抑えつつ、左からナンバリングされている順にいただきました。

【CCCデギュスタシオンNo.5】

■1,es-ガナッシュ・ノワール(ビターチョコレート使用の規定種目)

内側のガナッシュにはマダガスカル産カカオを75%使用し、程良い酸味と苦みが楽しみます。

■2,es-ガナッシュ・オレ(ビターチョコレート使用の規定種目)

カカオ含有量が51%のボンボンは、まろやかさの中にカカオ感が強調され、カカオの産地が?と同じものの、異なった印象を持つ作品に仕上がっています。

■3,es-プラリネ・ノワゼット(プラリネを使用の規定種目)

ピエモンテ産ヘーゼルナッツの微細なプラリネが、コクを与え、平坦になりがちなボンボンの食感に、上品なメリハリを生み出します。

■4,一休(オリジナル・レシピの規定種目)

特に興味深かった一品です。というのも、ガナッシュの上には3粒の大徳寺納豆が!今では欧米でもポピュラーになった柚子・抹茶・わさびなどの食材を敢えて避け、頓知でお馴染みの一休さんが考案したと伝えられている大豆発酵食品を導入されたそうです。チョコレートの甘辛ミックスにしても斬新なチョイスですが、所々で感じられる納豆の塩気が、キャラメル・サレを連想させ、不思議にもチョコレートとしての味の調和が生まれます。あのHenri Le Roux氏も大絶賛されているそうです。

■5,スモーキー(オリジナル・レシピの規定種目)

10年物のラフロイグ・ウイスキーと甘酸っぱい木イチゴのマリアージュ。その名の如く、ウイスキー独特のフレーバーが強調されたボンボンですが、小山シェフ曰く、女性にはよく「ヨードチンキ」と呼ばれるのだとか(笑) また、?の一休も納豆の塩分を含み、?のスモーキーに使用たウイスキーは、スコットランド・アイラ島の潮風で育った大麦が原料となっているため、味の繋がりがスムーズに。



【小山ロール】
【小山ロール】

これからは「三大コヤマ」と呼ばれるメニューが続きます。「小山ロール」は、東京で限定販売すれば数分で売れ切れ、本店では行列しても入手困難となっている、定番スイーツのロールケーキに小山シェフのツイストを加えた逸品です。贅沢に牛乳を使用し、30分かけてじっくりと焼き上げたスポンジ生地は、口に入れるとフワリと溶けながら卵がフワッと香ります。クリームに混ぜ込まれた栗の甘露煮は、糖度を下げ、昔ながらのホクホク感を実現させたとか。細部の食感に注力する小山シェフ、実は今回のために、この繊細な小山ロールを飛行機の手荷物として、自ら持ち込んでくださったのです!その上、大勢で食べやすいように、カットしてご用意くださったお心遣いまで、全てに脱帽でした。




【小山チーズ】

【小山チーズ】

これほどまでにデリケートなチーズケーキを食べたことがあるでしょうか?形を保つのがやっとのスフレ状の筒型ケーキには、フランスと北海道産の2種類のケーキを混ぜ込み、9分だけオーブンへ。エレガントだけれど何処か懐かしくもある黄金に輝く表面の焼き色に、チーズの濃厚なコクと香り。少し小さめのサイズでも、視覚と味覚は満足感で一杯になりました。この小山チーズ、実はルデセールの会員でもあるショコラティエ、フレデリック・カッセル氏(Frédéric Cassel)とご夫人の大好物だそうで、来日の際、いつも大人買いされるのですって!


【小山ぷりん】 【小山ぷりん】

現在eS Koyamaで販売されている4種類のプリンのひとつで、三田市の隣町、丹波市氷上の牛乳を使用し、まさに牛乳を表現したプリンには、ミラクルな裏話が。。。キャラメルソースとプリン生地の優しい甘さに、きび砂糖を使用することにした小山シェフ。そこで、プリンに使用した牛乳の生産家さんへ完成品のプリンをプレゼントしたところ、偶然にも牛の餌にきび砂糖を与えていたとか。食材に拘ると、そこまでの軌跡が起こるのですね!

追記: 2月19日放送の「情熱大陸」小山シェフの回で登場した、小山プリン担当の岸本君が、今回も一生懸命作ってくださいました。兎にも角にも、小山シェフ&岸本君に感謝。



【思い出の大きな木】

【思い出の大きな木】

【思い出の大きな木】

まるで絵本のようなタイトルの小山流バームクーヘンは、まさにブック型の化粧箱に納められ、物語の主役に。シェフのお母様のご実家である兵庫県多可郡の卵を使用し、幼少期の夏休みに虫取りに夢中になった日々の思い出が、柔らかく、ほのかに甘い切り株となって、今の私たち一人ひとりに伝えられています。


小山シェフは、会の締めくくりに次のように述べられました。

私は、「夢は?」という問いに「夢はない」と答えていますが、夢の代わりに、目標が沢山あるのです。明日のこと、一か月後のことなど、目下はes Koyamaの敷地内に子供たちが自分の意思で考え、店員とコミュニケーションをすることで、お菓子を購入できるような駄菓子屋さんをオープンし、それを成功させるという目標があります。自分にしかできないことを実行し、世の中に役立てたいと言い続ける方が、今の若い人たちの心に響くと考えています。


パティシエだけでなく、経営者・教育者など様々な顔をお持ちの小山シェフに圧倒されっ放しの2時間半は、お菓子やトークに加え、シェフの笑顔が大変印象的でした。


人生は、甘くて、苦くて、時には酸っぱく、塩辛い?!もの。そんな日々の中で、「明日への活力になる、食べて楽しくなるものがスイーツ」とおっしゃる小山シェフへ、東京から、そして日本から、これからも大きな大きなエールを送ります。


 

<文責>船越さやか

2012年03月19日