■ガレット ブルトンヌ
(エテルニテ:フランス料理 大阪市西区)
ナイフを入れた瞬間にほのかにバターが香ります。噛むと空気感のあるサクサクとともに、バターの風味が口の中で徐々に濃くなっていきます。来栖さん曰く「シンプルだが、粉自体のおいしさと、きちんと焼かれているという『持続力』のあるお菓子。」コース料理の邪魔をしないで、かつ新たな食欲が湧いてくる一品です。
■チーズケーキ
(ル プティ ポワソン:洋菓子 東京都世田谷区)
中はしっとりした部分とふわふわした部分に分かれていて、レモンの爽やかな酸味が、柔らかい食感でまろやかにまとまり、最後にチーズのチャンクが歯ごたえを与えています。軽いのにしっとり。「ベイクドタイプだが、スフレのような軽さ。甘さの加減がぎりぎりで、食感がはかない」来栖さんの絶妙なコメントで、一同うなずくばかりでした。
■シュークリーム
(ル プティ ポワソン:洋菓子 東京都世田谷区)
またしても定番の一品です。見た目は固くて重そうで、実際に持ち上げてみるとかなりの重量感です。シューは焼きの入りが強くカリカリしていて、カラメルの甘みが香ばしさを演出し、中のクリームはもったりとして、うまくシューとからみます。直球勝負の好きな来栖さんが必ず味わってみるという定番のシュークリーム。その中から選ばれた一品です。
■グレープフルーツゼリー
(ブルーリボン:洋菓子 東京都世田谷区)
ピンクとイエローの二色のグレープフルーツが、ふるふると緩いゼリーの上に浮かんでいます。フルーツが生き生きとしていて、酸味よりおだやかな苦味と甘味が感じられます。ドイツのゼラチンを使用しているそうで「ゼリーのゆるさとフルーツのマッチ。生でそのまま食べるより果実がうまい」とおっしゃる通り、グレープフルーツが今まで苦手だったのに、これはおいしい!と言う方多かったです。
■トランシュ ケーク キャラメル ヴァニーユ
(サダハル アオキ:洋菓子 東京都千代田区)
洋酒の香り高いキャラメルとバニラのパウンドケーキです。たくさんのバニラの粒が顔を出し、キャラメルの深いブラウンがマーブルのように走っています。ケーキのやさしい甘さと洋酒の苦さがいいマッチです。来栖さんによると「キャラメルとバニラの組み合わせで、うまくないはずがない。買わないはずがない。」うーん、まさしく王道ですね。
■ショコラ クグロフ
(ランベリー:フランス料理 東京都港区)
姿が現れた瞬間におおっというざわめきが起こるほど、その黒光りした姿は美しいです。ぎっしりと中身に詰まるナッツは濃厚で、全体的にしっとりした口当たりです。「クグロフ」の範疇からはみ出した一品と言えるかもしれません。来栖さんは、「ショコラの焼き菓子は総じて難しいが、初めて食べた時にびっくり」されたそうです。様々なクグロフを作っていて、完成度の高いランベリーさんならではの一品。
はきはきとご自分の考えを述べられる来栖さん。 たくさんの食をその舌で味わってきてらっしゃる来栖さんは、意外にも、よくできている基本的なスイーツがお好きなようです。 それぞれのお店が真面目に頑張ったからこそできたおいしいものを、来栖さんはすんなりと理解してチョイスされているのだと思いました。「ゆずれないもの」があって折り合いをつけることを良しとしない潔さがそうさせるのかもしれません。 来栖さんは、後進にもっとチャンスをつかんで欲しいとの思いから、新しくレストラン「エキュレ」を西麻布に立ち上げられます。 「食」という人生のアートに対する熱意と、冷静に分析・客観する専門家としての姿勢が、ポジティブに結晶された場所のようで、聞いている私たちも胸躍る晩となりました。
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